万能ではない!鍛造ピストンのデメリット3選

プロフィール
purosaku24

コンパクトカー・スポーツカー・大排気量セダン・商用車など、今まで7台の車に乗ってきました。
車を改造し過ぎてすぐに壊したり、調子に乗って事故を起こしたりと、失敗もたくさんしてきました。
大学では自動車部に所属、車の整備・改造はもちろん、レーシングカートをしたり、峠やドリフトなどストリートに参加したりしていました。
現在、商用車のトヨタサクシードに乗っています。
過去にはプロショップのレース車で、サーキット走行会や耐久レースにドライバーとして参加するなど、経験を積んできました。
このような経験や知識を活かして、少しでも皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと考えています。

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エンジン
  • 鍛造ピストンは万能ではないの?
  • 鋳造ピストンより鍛造ピストンのほうが全ての点で優れている?
  • 鍛造ピストンにデメリットはあるの?

このような疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 熱膨張率が高くピストンクリアランスが必要
  • 暖気運転をしっかり行う必要あり
  • コストが高い

私は学生時代の自動車部、社会人になってからのレース活動で車に関する情報を蓄積してきました。

また、サクシードを仕事とプライベートで使用しており、月平均1800キロ、年間2万キロ弱走ります。

実走で得られた情報や実績を当ブログで発信しています。

今回は鍛造ピストンのデメリット3選についてご紹介しようと思います。

熱膨張率が高くピストンクリアランスが必要

鍛造ピストンは熱膨張率が高く、冷間時のピストンクリアランスを広めにとる必要があります。

鍛造は素材の密度が高いので熱膨張率が大きく、暖機後に最適なクリアランスになるように、冷間時はクリアランスを広めにとる必要があるためです。

鍛造という製法は、金属の塊に高温・高圧プレスを行うことで成形し、出来上がる製品は密度の高い高強度のものになります。

金属の密度が高いということは、熱膨張は金属の分子単位で起こるので、ピストンの熱膨張率が高いということになります。

エンジンのピストンは、冷えている時と暖まっている時の温度差が大きく、暖機後の温まった状態で最高のパフォーマンスが発揮出来るように設計されています。

スポーツカーなどのエンジンに鍛造ピストンが採用される事が多いですが、レースの世界では暖機運転という概念が全く無い訳ではないですが非常に少ないので、鍛造ピストンのデメリットは目立ちにくいのです。

鍛造ピストンは熱膨張率が高く、冷間時のピストンクリアランスを広めにとる必要があります。

暖気運転をしっかり行う必要あり

鍛造ピストンの性能をフルに発揮するためには、暖機運転をしっかり行う必要があります。

鍛造ピストンが採用されているエンジンは、冷えている時のピストンとシリンダーのクリアランスが広めに取られているためです。

ピストンクリアランスが広いということは、ピストンとシリンダーの隙間から吹き抜けやオイル抜けが起こりやすく、ピストンの首振りも起こりやすい状態と言えます。

この状態で全開走行などハードな使い方をすると、本来の性能を発揮出来ないばかりかエンジンにダメージを与えかねません。

特にレース専用ではなく、街乗り中心の車では真冬の冷間時の性能も大切になってくるので、鍛造ピストンのデメリットが目立ちやすくなります。

鍛造ピストンは、暖気後にピストンが膨張し適正なクリアランスとなるので、暖気運転をしっかり行わないと本来の性能を発揮出来ません。

コストが高い

鍛造は一般的に、鋳造よりもコストが高いと言われています。

それは、製品を形作る金型や原料である丸棒の製造にコストが掛かること、削り出しであれば材料のロスが多いことなど、様々な要因があります。

製造コストの高さは販売価格に直接影響し、鍛造ピストンの価格は高くなります。

鍛造ピストンが一部の高性能車(スポーツカーや高級車)にしか採用されないのはその為です。

最近では、加工技術が進歩し鍛造でも比較的低コストで製品を製造出来るようになってきているようで、例えばヤマハのスクーターなどにも鍛造ピストンが採用されているようです。

鍛造は一般的に、鋳造よりもコストが高いと言われています。