万能ではない!鍛造ピストンのデメリット3選

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エンジン サクシード

疑問

  • 鍛造ピストンは万能ではないの?
  • 鋳造ピストンより鍛造ピストンのほうが全ての点で優れている?
  • 鍛造ピストンにデメリットはあるの?

このような疑問に、愛車遍歴7台、サーキットで耐久レースに出場経験もある筆者がお答えします。

この記事で分かること

  • 熱膨張率が高くピストンクリアランスが必要
  • 暖気運転をしっかり行う必要あり
  • コストが高い
この記事を書いた人
プロサクの日々

ホンダインテグラタイプRやクラウンなど、中古車7台に乗り、改造や事故などで失敗も多数。
大学で自動車部に所属、車の整備、改造、レーシングカートを経験。
社会人になり、ショップのレース車両でエビス東コースのサーキット走行会や耐久レースにドライバーとして参加。
プロボックス・サクシードは前期型と後期型の両方に乗った経験があり、通算して乗車歴は11年目になります。
後期型サクシード(プロボックス)を仕事とプライベートの両方で乗り、年間走行距離は約18000キロ。セカンドカーはダイハツムーヴカスタム。

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熱膨張率が高くピストンクリアランスが必要

鍛造ピストンは熱膨張率が高く、冷間時のピストンクリアランスを広めにとる必要があります。

鍛造は素材の密度が高いことから、熱膨張率が大きく、暖機後に最適なクリアランスになるように、冷間時のピストンクリアランスを広めにとる必要があります。

鍛造の製法は、金属の塊を高温・高圧でプレスすることで成形し、出来上がる製品は密度の高い高強度のものになります。

金属の密度が高いということは、熱膨張は金属の分子単位で起こるので、ピストンの熱膨張率が高いということになります。

エンジンのピストンは、冷えている時と暖まっている時の温度差が大きく、暖機後の温まった状態で最高のパフォーマンスが発揮出来るように設計されています。

スポーツカーのエンジンに鍛造ピストンが採用される事が多いですが、レースの世界では暖機運転という概念があまり無く、鍛造ピストンのデメリットは目立ちにくくなります。

暖気運転をしっかり行う必要あり

鍛造ピストンの性能をフルに発揮するためには、暖機運転をしっかり行う必要があります。

鍛造ピストンが採用されているエンジンは、冷えている時のピストンとシリンダーのクリアランスが広めに取られているためです。

ピストンクリアランスが広いということは、ピストンとシリンダーの隙間から圧縮抜けやオイル抜けが起こりやすく、ピストンの首振りも起こりやすいなど、本来の性能を発揮出来ない状態と言えます。

この状態のままで、全開走行などハードな使い方をすると、本来の性能を発揮出来ないのはもちろん、エンジンにダメージを与えてしまう可能性もあります。

レース専用車両ではなく、街乗り用の車であれば、暖気前の冷間時の性能も大事になってくるので、やはり鍛造ピストンのデメリットが目立ちやすくなります。

鍛造ピストンは、暖気後にピストンが膨張し適正なクリアランスとなるので、暖気運転をしっかり行わないと本来の性能を発揮出来ません。

コストが高い

鍛造は一般的に、鋳造よりもコストが高いと言われています。

理由は、製品を製造する際の金型や、原料である丸棒のコストが高く、さらに削り出しであれば原料のロスが多いことなど、様々な要因があります。

製造コストの高さは販売価格に直接影響し、鍛造ピストンの価格は高くなります。

鍛造ピストンが一部の高性能車(スポーツカーや高級車)にしか採用されないのはその為です。

最近では、加工技術が進歩し鍛造でも比較的低コストで製品を製造出来るようになってきているようで、例えばヤマハのスクーターなどにも鍛造ピストンが採用されているようです。

鍛造は一般的に、鋳造よりもコストが高いと言われています。