このような疑問に、愛車遍歴7台、サーキット走行経験もある筆者がお答えします。
耐久性の問題
エンジンの常用回転数が高い
軽自動車はエンジンの常用回転数が高く、普通車と比較して耐久性が低い傾向にあります。
軽自動車の排気量の上限は660ccに定められており、これ以上排気量の大きなエンジンは搭載出来ないためです。
最近の軽自動車は、安全性や快適性の向上により、車両重量が増加傾向にあります。
普通車のコンパクトカークラスの場合、その車両重量は1000kg前後であることが多いと思いますが、最近の軽自動車はそれと同等かそれ以上の場合もあります。
エンジンが660ccの排気量で、普通車並みかそれ以上の重量を動かすので、どうしてもエンジンの常用回転数は高くなります。
常用回転数が高くなるということは、それだけエンジン部品の磨耗が多くなり、当然エンジンの寿命は短くなります。
エンジンの出力が高い
軽自動車のエンジンは、排気量から換算すると高出力な設計のエンジンとなっており、その分耐久性が犠牲になっています。
軽自動車のエンジンは、660ccまでという限られた排気量の中で、出力を重視した設計となっているためです。
最近の軽自動車のエンジン出力は、ターボ付きで60~70馬力、ターボ無しで40~50馬力程となっています。
この出力は、排気量から考えるとかなり無理をしたエンジンと言えます。
単純計算ですが、ターボ無しでもリッター当たり100馬力に近いような出力を出していることになり、これは一昔前のレース車両にも匹敵するほどの高出力です。
エンジンは出力を重視するほど、その寿命は短くなる傾向にあります。
たかが軽自動車のエンジン、とは考えないほうが良いのかも知れません。
限られた排気量で重い車重を動かす為に、かなり無理をした設計のエンジンが搭載されていると考えたほうが無難です。
ボディが錆びやすい
軽自動車のボディは錆びやすく、耐久性が低い傾向にあります。
安全装備や快適装備で増加した重量に対応するため、その他の部分を軽量化する必要があり、ボディの防錆対策が弱い傾向になるためです。
車のボディには、錆びから車を守る為に塗装や防錆処理が施されています。
軽自動車の場合は、防錆処理(アンダーコート)の厚みが薄かったり、そもそも防錆処理がされていないケースもあります。
最近の軽自動車は、快適装備の増加や安全性の向上のために車両重量が重たくなりがちです。
走りの質向上や燃費向上のために軽量化は必要なので、快適性などに直接影響の少ない防錆処理を省略しているのです。
防錆の為のアンダーコートも、それ自体に重さがあるので、省略することによって軽量化になります。
これはボディの塗装についても同じことが言えます。
普通車と軽自動車の塗装皮膜を比べた場合、軽自動車のほうが皮膜が薄いことがほとんどです。
このような軽量化は、例えば軽自動車に限った話しではなく、普通車でも一部の燃費を追及した車(プリウスなど)でも同じようなことが行われています。
価格が高い
中古車の価格が割高

軽自動車は、中古車の市場価格が新車価格と比較して割高になる傾向があります。
その理由は、軽自動車の中古車需要が高い為です。
軽自動車はコンパクトで小回りが効き、日本の道路事情に合っていて運転し易いので、多くの人から需要があります。
また、税金も安いのでその点でも人気があります。
中古車は、主に需要と供給で価格が決まりますので、軽自動車の中古車価格は高くなりがちです。
実は、これと同じことがバイクでも起こっています。
原付バイクは車の免許があれば基本乗れますし、手軽に乗れるので高い需要があります。
よって新車と中古車の価格差が小さくなります。
大型バイクなどは、大型の免許が無ければ乗れませんので、そもそも乗れる人が限られてきます。
よって中古車でも価格の下落が大きくなりがちです。
国内規格のため割高

軽自動車は日本国内にしかない規格で、世界に販売されず販売台数も限られるので割高です。
車は工業製品なので、生産台数が増えるほど、1台あたりの原価は下がります。
軽自動車は日本国内限定の規格で、一部のマニアが輸入する分を除いて、基本的には海外では販売されていません。
一方、普通車のコンパクトカー、例えばマツダのデミオや日産のマーチなどは、車名を変えて世界各地で販売されています。
同じような価格で販売されている車でも、日本国内でしか売れない軽自動車は販売台数を稼ぐのが難しく、工業製品の特徴でもあるコストメリットが十分生かせません。
また、自動車メーカーとしても日本国内限定で売る車と、世界で売る車とではどちらに注力するかというと、やはり台数の売れるほうだと思います。
同じ利益を出すにしても軽自動車は利益を出すのが難しく、その分品質を下げざるを得ない事情も出てきます。
燃費が良くない
普通車と比べて悪い場合も

軽自動車の燃費は、状況によっては普通車よりも悪くなる場合があります。
車体に対してエンジンが小さいので、速度域が高くなると負荷が大きくなるためです。
特に、高速道路ではその影響が顕著で、軽自動車と普通車の燃費が逆転する現象が時々見られます。
これは空気抵抗が増加することと、軽自動車と普通車ではギア比のセッティングが異なることが主な原因です。
軽自動車に燃費性能を期待し過ぎると、走り方によっては期待外れの結果になる可能性もあります。
ハイト系軽自動車は空気抵抗が大
最近よく売れている、スライドドアが付いた背が高いハイト系軽自動車は、空気抵抗が大きく燃費的に不利になります。
背が高く、前面投影面積が大きくなるので、空気抵抗が大きいことが主な原因です。
また、スライドドアなどの装備もあり、車両の重量が重くなりがちで、その面でも燃費的に不利になります。
代表的な車種で言うと、スペーシアやタント、NBOXなどでしょうか。
燃費だけを重視するなら、アルトやミラなどの、あまり背が高くない軽自動車のほうが有利になります。