このような疑問に、愛車遍歴7台、サーキットで耐久レースに出走経験もある筆者がお答えします。
実用回転数の充填効率が落ちる
社外のエアクリーナーに交換することで、街乗りなので多用する実用回転数の充填効率が落ちる可能性があります。
空気は厳密に言うと質量が存在し、吸気慣性が働くからです。
例えば、風が吹くと分かる、風を感じる、これらは全て空気に質量があるからです。
質量がある全てのものには、慣性の法則(動いているものは動き続けようとする力)が働きます。
純正エアクリーナーはその点が十分考慮され、街乗りなどで最もよく使う回転数付近で、シリンダー内への充填効率が最大となるように設計されています。
吸気抵抗低下=濾過性能低下
吸気抵抗が低いということは、原則として濾過性能を犠牲にしていることが多いです。
吸気抵抗と濾過性能は、基本的にはトレードオフの関係だからです。
社外品のエアクリーナーは、吸気抵抗の低減によってパワーアップを謳っているものが多く、低抵抗=パワーアップという図式で宣伝されている物が多いです。
確かに、吸気抵抗が減れば最大充填効率が上がりポンピングロスも減るので、エンジンの最大パワーは上がると筆者も思います。
吸気抵抗というのは、例えば人が口に付けるマスクで考えると分かりやすく、微細な埃やウイルスも寄せ付けない濾過性能の高いマスクと、そこまで濾過性能が無いマスク、どちらが呼吸しやすいでしょうか?
エアクリーナーの濾過性能が低いということは、エンジン内に砂や塵などのゴミが入りやすいということを意味し、エンジン内に砂や塵が入るとシリンダーやピストンに傷を付ける原因になり、確実にエンジンの寿命は短くなります。
特にむき出し毒キノコエアクリーナが✕
社外エアクリーナーには純正交換タイプとむき出しタイプがありますが、特にむき出しタイプの通称毒キノコエアクリーナーには注意が必要です。
むき出しエアクリーナーは、別名「毒キノコ」と呼ばれることもあるように、製品の選択や取り付け方法、車のセッティング方法を間違えると、様々なデメリットが発生する可能性があります。
むき出しエアクリーナーは、その名の通りエンジンルームでむき出しなので、きちんと遮熱対策をしていないとエンジンルーム内の熱気をダイレクトに吸ってしまうことがあります。
吸気温度は、熱い空気より冷えた空気のほうがエンジンパワーが出るのが原則で、これは、ターボ車に吸気を冷やすためのインタークーラーが、車種によっては純正でも付いているケースがあることを思えば、吸気温度を下げることの重要性が分かると思います。
一方で、純正のエアクリーナーボックスやその配管は、熱の影響の少ない樹脂製であることがほとんどで、熱の影響が少ないフェンダー裏やヘッドライト裏などから空気を吸うようになっており、エンジンルーム内の熱気を吸わないような設計になっていることがほとんどです。
ターボ車は比較的影響が少ない
ターボ車に社外エアクリーナーを取り付ける場合は、NA車と比べてその影響が比較的小さいと言えます。
ターボ車の場合は、吸気慣性や脈動の問題以前に、過給機で機械的に空気を圧縮して充填効率を高めているので、エアクリーナーを社外品に交換してもデメリットは出にくい傾向があります。
ターボ(過給機)の付いていないNA車(ノーマルアスピレーション車)の場合は、吸気慣性や脈動を利用して充填効率を高めていますので、エアクリーナーの影響がモロに大きく出ます。
NA車の空気を吸う力とはすなわち、エンジンが発生する負圧の力しかないため、吸気慣性や脈動をうまく生かして充填効率を高めていく必要があるからです。
ただし、ターボ車の場合でもブーストが掛かるまでの領域はNAと同じなので、超低回転域の特性を考えるならデメリットがあるとも言えます。
また、吸気温度で言うとターボ車のエンジンルームはタービンがある関係で高温になりがちなので、先にご紹介したむき出しタイプのエアクリーナーは、きちんと熱対策をしないと吸気温度の面でデメリットが出てくる可能性が高いです。
パワーバンドが高回転にシフトする
社外エアクリーナーに交換することで、パワーバンドが高回転にシフト(移行)する可能性が高いです。
低回転域の充填効率よりも、高回転域の充填効率のほうが良くなるためです。
確かに、社外品のエアクリーナーを取り付けることによって、エンジンの最大パワーが上がることはありますが、それは高回転域でのパワーが上がるというケースがほとんどです。
サーキットなど、エンジンの回転数が高いまま走り続けられる場合は良いですが、一般道を走る場合は高回転域のパワーを使うシーンも限られてくる思います。
社外品のエアクリーナーでパワーアップするというのは完全に嘘ではありませんが、それで一般道を走って車が速くなるかどうかは、また別の話しと言えそうです。
フッティングが悪いケースがある
粗悪な社外品のエアクリーナーでは、フッティングそのものが悪い場合さえあります。
エアクリーナーの精度や素材が悪くて、僅かでも吸気経路に隙間が出来てしまうと、そこから二次エアを吸ってしまいエンジンの調子を崩す可能性があります。
特に純正交換タイプの社外品のエアクリーナーで、フィルターと純正エアクリーナーボックスとの相性が悪く、わずかな隙間が出来てしまうことがあります。
純正品のエアクリーナーと、ノーマルのエアクリーナーボックスの組み合わせであれば、もちろんこのような現象は発生しません。
社外品のエアクリーナーを選ぶ際は、激安な無名メーカーの物ではなく、しっかりとした有名メーカーの物を選ばないと、パワーアップどころか調子を崩してパワーダウンする可能性すらあります。

