このような疑問に、愛車遍歴7台、サーキットの耐久レースに出走経験もある筆者がお答えします。
税制と燃費基準が変わった
アイドリングストップが減少した理由には、車に関する税制と燃費基準の変化があります。
税制の変更は車の取得費用や維持費に大きく影響し、燃費基準の変更はカタログ燃費の数値に大きく影響します。
元々アイドリングストップが急速に新車に採用された時期は、エコカー減税の対象期間でした。
エコカー減税は、カタログ上の燃費の数値で減税の対象か対象外かが決まるので、カタログ上の燃費を少しでも上げようとしてアイドリングストップの採用が増えたのですが、そのエコカー減税が2021年4月30日で廃止となり、アイドリングストップを採用する理由のひとつが無くなりました。
さらに、新車のカタログ燃費の測定基準が、JC08モードからWLTCへ変更され、燃費測定時のアイドリング時間が短くなったことで、アイドリングストップを採用しても燃費向上の幅が少なくなり、アイドリングストップ装着車と非装着車のカタログ燃費の差が小さくなったので、自動車メーカーもコストがかかるアイドリングストップを採用しなくなった訳です。
実燃費の向上量はわずか

JC08モードの燃費基準では、少なくともカタログ上の燃費の数値を向上させる効果のあったアイドリングストップですが、実際の走行では燃費向上の効果はわずかです。
アイドリングストップによって頻繁にエンジンの始動と停止を繰り返すことで、逆に燃料を多く消費しているケースがあるためです。
車種にもよりますが、およそ5秒間のアイドリングで消費する燃料と、エンジンを始動するために必要な燃料はほぼ同じだという情報があります。
つまり、アイドリングストップで一度エンジンを止めたら、5秒間以上はそのままでいないと燃料の節約に繋がらないことになります。
実際の走行では、信号や交通状況により5秒間未満の間隔でエンジンの始動と停止を繰り返すこともあるので、アイドリングストップが逆に燃費にマイナスとなるケースが発生しやすくなっています。
エンジンにとっては過酷
アイドリングストップのように、エンジンを頻繁に始動・停止するのは、エンジンにとって過酷な使い方と言えます。
例えば、アイドリングストップと同じようにエンジンを頻繁に始動・停止するハイブリッド車のエンジンは、カーボンやスラッジなどでかなりひどい状態になり、エンジンオイルの交換頻度も上がるという情報があります。
頻繁にエンジンの始動・停止を繰り返すと、油温が上昇しないことでエンジンオイル内の水分が蒸発せず、エマルジョン(乳化)が起こりやすくなります。
エマルジョン(乳化)が発生したオイルは白く白濁し潤滑性能などが低下、結果的にエンジンに大きな負担がかかることになります。
あるメーカーの整備士さんに聞いた話では、ハイブリッド車のエンジンは大体がこのような悪い状態になっているので、あまり触りたくないと言っていました。

